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2005年9月 9日

選挙の心理学

この記事をTwitterに投稿するはてなにブックマーク はてなにブックマーク│ この記事のカテゴリ: 02. 心理

例によって、とっとと期日前投票に行ってまいりました。あとは野となれ、山となれ。


 
ところで・・・・


選挙には、様々な心理学が存在しています。選挙の度に毎度繰り返されていることなので、案外バカにしがちですが、「握手の心理学」など、言われてみればなるほどね、といいたくなる心理学が実は多数使われています。


今回は、ちょっとだけ、それを解説してみることにしました。


 
「握手の心理学」・・・選挙となれば、立候補者が街中を走り回りながらたくさんの有権者と握手しまくっている姿を目にすることになります。


握手したぐらいで投票する人を決めるなんて、そんなバカな奴がそんなにいるわけがない、と思うかもしれませんが、実はこれは実際、相当効果が高いので取り入れられている方法なのだそうです。


人は接触回数が多いほど、相手に好感を抱きやすい(ザイオン効果)という性質をもっています。


また、人は名前を聞いたことはあるけれど会ったこともない人より、直接会ったり触れたりした人のほうに親近感を抱きやすい、という性質も持っています。


こういう性質を持っているので、握手をして直に触れ合うと、実際、有権者の投票行動にかなり大きな影響を与えることが多いのだそうです。だから、この「握手しまくる」という手法は選挙のたびに、あちこちで取り入れられているのだそうです。


アメリカでは、随分前からこの「握手」の効用は知られており、選挙戦略にはかなり早い時点で導入されていました。日本では田中角栄が本格的に導入したことをきっかけに、広まったといわれています。


  
・・・・ちなみに、少し前、テレビ番組で「握手をするときは相手の目を見て、両手をそろえ手握手した方が効果が高い。また、男性と握手するときは相手の手を自分の胸のほうに引き寄せた方が、また、女性と握手するときは、相手の胸のほうに押し出すような形で握手した方が効果が高くなる」という法則がある、といっていました。


人間はそんな些細なことでさえ、影響を受けてしまうようです。


  
「すりこみの法則」・・・選挙になると、選挙カーがあちこち回りながらひたすら立候補者の名前を連呼しています。


これを見て、「アホの一つ覚えか」と思った人もいるでしょうが、やっぱりこれも有権者の投票行動が多大な影響を与えることがわかっているので、取り入れられている方法なのだそうです。


 
人は「6度言われて初めて1度言われたと認識する」といわれるほど、人の話を聞いていないと言われています。


選挙の時も、ポスターがあっちこっちに貼ってあったり、何度も候補者が選挙カーでまわって名前を叫んでいるはずなのに、実際、投票所に行くまで、どういう名前の人が立候補しているのか知らなかった、なんてことがよくあります。


人は自分と強い関わりでもない限り、不要な情報は記憶の片隅の、さらに奥のほうにしか置いておかないものなのです。


だから、候補者が、少しでも有権者の記憶や意識に名前を記憶してもらうためには、ひたすら同じ情報を繰り返す必要があります。人は1回よりも2回、2回よりも3回聞いた言葉のほうが記憶や印象に残りやすいので、できるだけ同じ情報を繰り返したほうが良いというわけです。


だから、どの候補者もひたすら名前を連呼しているんですね。


 
・・・ちなみに、この方法は、「バザールでござーる」「ポリンキー」などのCMを作った、佐藤雅彦 氏の手法と同じものだといえるでしょう。


「バザールでござーる」などのCMを作った際、佐藤氏はその他のクリエイターから、「あんな名前を連呼するだけのCMなんて、クリエイティブじゃない。」などといわれたこともあるそうです。


でも、結局、今、あの、「バザールでござーる」のCMといわれてもすぐに思い出すことが出来るのは、ひたすら連呼していたことによって記憶に残っているからなワケです。

人は連呼された言葉の方を記憶しやすいから、立候補者も自分の名前を連呼している。そう思いながら見ると、候補者の絶叫も別の視点から見えて面白いかもしれません。


 
「人は選択肢が多いと、逆に選ばなくなる。」・・・今、世の中は非常にたくさんの選択肢が溢れています。これだけ、選択肢が多ければ、隣の人と同じものを選んだりすることは全くなくなりそうなものです。


でも、100万部売れる本があったり、ある商品が有名になると一斉に人が群がる、という現象がなくなることはないわけです。それどころか、ある商品が売れていることが伝わると、ますますその商品が売れる、という現象さえ珍しくありません。


この現象をかの大前研一氏は「一人勝ちの法則」と呼びましたが、人は選択肢が多いと、逆に選択肢しなくなる、という性質を持っているようです。


人は複雑な状況をそのまま理解しようとすることよりも、単純化し、わかりやすくして理解することを好みます。少し前に「複雑系」という物が流行ったのに、あっという間に廃れてしまったのも、この性質が大きく関係していると言われています。


今回の選挙では小泉君はひたすら「郵政民営化、賛成するのかしないのか」という1点を掲げて勝負をしています。野党は「政治は郵政だけじゃない。年金改革など他の政策をないがしろにして許せん!」といきまいていますが、結局、小泉戦略が功を奏して自民党優勢の流れが出来ています。


これは、結局、できるだけ単純化してわかりやすくした方が多くの人にウケが良い、という性質に沿ったものだったことが大きな要因といえるでしょう。  


 
言われてみれば当たり前の心理学が実は選挙の勝敗を左右する。


そう思いながら見ると、これらもバカに出来ないのではないでしょうか。


(今日の一言)
ディベートとマニフェストによって論理的に戦うイギリスの選挙などとは違い、日本では昔から「情」に訴えかけて戦う選挙が一般的です。これをみて、「だから日本人はダメなんだ」という人もいます。


が、日本人が論理性よりも、情緒とか義理人情を優先することが多いのは、そちらの方が生きていくうえで、重要だったからそういうことになっているのです。


「農耕社会」「村社会」「基本的に単一民族の社会」においては、論理性よりも、義理人情を優先した方が都合が良かったから、論理的でない部分の方がいまだ重視される雰囲気があるわけです。


この気質はこの先変わってはいくでしょうが、「ダメだダメだ」といったくらいで変わりはしないでしょう。


なら、当面はこういう状況でどうすればより大きな成果を挙げるにはどうしたらいいのか、を考えた方がより「論理的」かと思います。どうでしょうか?


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