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2006年6月22日

日本の格差社会

メリルリンチ日本証券とキャップ・ジェミニは、日本の富裕層が2005年に前年比4.7%増加の141万人になったとするレポートを発表した。  発表したのは「ワールド・ウェルス・レポート2006年版」。日本の富裕層(主たる住居を除く純金融資産が100万ドルを超える個人)人口が増えた主な理由として、実質国内総生産(GDP)2.6%の増加、堅調な相場環境、デフレ圧力の沈静化、消費の改善などを挙げている。定率減税の解除などの障害はあるものの、こうしたポジティブ要因は06年も継続するという。

こういうニュースが流れる一方、収入が減った人も増えていて、2極化が進んでいると言われています。


特に最近は、それを「格差社会」と呼んで、大きな問題だとする報道も増えています。


しかし、少し前までの不況の時も、経済苦で自殺する人もいれば、ブランドのバッグなどを買いまくる人もいて、格差なんてものは昔から存在していました。でも、これまでは「格差」のことなどあまり言われてこず、最近になって、急に「格差社会、格差社会」といいだされるようになりました。


やはり、これは、経済状況が良くなってきて心に余裕が出来、周りの状況が見られるようになってきたことが大きいのではないでしょうか。


不況でいつダメになるかわからないときには格差なんてあって当たり前で、むしろ稼いでいる人をいかに増やすかのことのほうが重要であったために、格差なんてことはほどんど無視されていましたが、余裕が出てきてために、「格差」を問題にしても許される状況になったのではないかと思います。


つまり、「格差社会」ということは状況が悪くなったから出てきた言葉なのではなく、状況が良くなってきたからこそ出てきた言葉だと思うわけです。


もちろん、実際に悪化している人もいるので、何らかの対策は必要なわけですが、日本の格差なんてものは、アメリカなどに比べれば、はっきり言ってあってないようなもの。今は、むしろ、経済的な格差よりも「意欲」とか「やる気」とかいった面での格差の方が遥かに重大な問題のような気もします。


といったことを富裕層が増えているニュースを見て、ふと思ったりした次第。


 

(追記) 

格差社会問題には現在、3つの問題がある。この3つの問題がクリアにならないと、そもそも議論がかみ合わないと思う。 


一つ目は「本当に格差は以前より拡大しているのか?」という問題点。 


例えば、A地点に年収500万の人と1000万の人がいて、B地点にも同様に年収500万の人と1000万の人がいた場合、B地点の500万の人がA地点へ、A地点の1000万の人がB地点に移動すると、A地点とB地点の年収合計の差は当然拡大するが、トータルでは変わっていない。 


このように、単に統計の取り方や調査の仕方次第で格差が現れる状態を、殊更強調しているのではないか?という点をクリアしないと、そもそも議論をすることが出来ないと思う。 


次に第2の問題点。それは、格差が存在しているとしたら、「何が格差の発生要因なのか?」という点。これは現在、かなり意見が分かれているので、どれが最も大きな原因であるかを決めないと、対策を立てること自体かなり難しいのでは?と思われる。 


野党の議員なんかは格差が増大しているのは、小泉内閣の政策ののせいだ!ということを盛んに主張している。 


長く続いた不況のせいで、成果主義の導入や、派遣社員などの非正社員の増加といったことを企業が行ってきたが、それがここにきて格差を増大させる最も大きな原因になっているのだ、と主張する人もいる。 


単純に中国やインドといった新興国が急成長した結果、国際競争が激化して、日本の国力が相対的に下がったから、それにともなって、格差が発生している、と主張する人もいる。 


20代・30代のときは年収に大した差はないけれど、50代・60代になれば人によって年収に大きな差がつく。少子高齢化が進んだ結果、この差がついている上の世代が増大したから、格差が増大しているのだ!と主張する人もいる。 


人それぞれ言うことがバラバラであり、どれが最も大きな原因なのかを探らないと、対策を立てることはかなり難しいのでは?と思われる。 


そして最後に第3の問題。それは「どれぐらいの格差なら、人は許容できるのか?」という問題点。 


日本より明らかに格差が大きいはずのアメリカでは、現在、「格差社会は大きな問題だ!」と言っている人はほとんどいない。少なくとも、国会議員やマスコミが連日、格差問題を口にしたりする状況はでない。日本でだけ、格差問題が日々、テレビ等々で盛んに論じられている。 


これは、日本人の多くが長い間、1億総中流と呼ばれる環境にいたため、他人と差がつくことに異常に嫌悪感や嫉妬心を感じてしまうようになっているから、ちょっとした差でも「格差だ!大変な社会問題だ!」と言っている可能性がある。 


セブンイレブンなどの会長をしている鈴木敏文氏は、「毎日店にやってくる数千万人のデータを見る限り、格差なんていうほども発生していない。国会議員までが毎日のように、格差・格差と叫んでいる理由はさっぱり理解できない」といっているが、ちょっとした差しか発生していないくても、これを大問題だとしている可能性は否定できない。 


 

こういった問題が、日本の格差問題には隠されている。これらをきちんと認識した上で、一つ一つ解決していかないと、結局、的外れな政策が実行されて、税金の無駄遣いだけがいつもどおり実行されてしまうかもしれない。 


「日本の格差」を論じる前に、論理的思考のなさを改善する方法を考える必要の方が先・・・かもしれません。 


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格差社会―何が問題なのか
橘木 俊詔 (著)
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